推拿・治癒理論Ⅰ

推拿・治癒理論Ⅰ

【推拿伝授05】文責:気功整体・癒しの空間 古田島 正敏

推拿は一言で言えば、骨格筋のうち、動脈の通り道であり、毛細血管が集積する遅筋を緩め、血流を促進する技術であり、その結果は代謝の促進である。
どのような機序で血流が促進し、代謝が促進されるのかを知るためには、筋肉、血管、神経の構造とその作用を知らなければならない。
本章は「治癒理論Ⅰ・筋肉について」である。

筋肉は瞬発力を生み出す速筋と、重力に逆らう方向に働き持久力を生み出す遅筋から構成されている。

骨格筋は、動物の筋肉の一分類であり、骨格を動かす筋肉を指す。

骨格筋は、細長い筋繊維とその細胞間を埋めて束ねる結合組織からなる。

筋繊維(筋線維とも)はそれぞれが一個の細胞で、筋細胞と呼ばれる。筋細胞は多くの核を持っている多核細胞(合胞体)である。 筋繊維の集まりが筋束を構成し、筋束の集まりが骨格筋を構成する。

骨格筋は骨格に対して、関節をまたぐように結びついている。その結びつく関節との関係からは、大きく屈筋と伸筋に分けられる。前者はその関節の曲がる側についており、縮むことで関節が曲がるようになっている。後者はその反対側につき、縮むと関節が伸びる。筋肉は収縮時に力を出すが、自分自身で伸びることはできないので、屈筋と伸筋が互いに拮抗的に働くことで関節の曲げ伸ばしが行われる。
骨格筋の形状はさまざまであり、紡錘筋、羽状筋、半羽状筋、鋸筋などに分類される。
また骨格筋には枝分かれしているものがあり、筋頭(骨格筋の、体の中心に近い部分)の数で分類することができる。筋頭がひとつのものを単頭筋、筋頭が二つのものを二頭筋、三つのものを三頭筋、四つのものを四頭筋と呼ぶ。

筋線維には大きく2種類あり、ミトコンドリアに富んで酸素を利用した持続的な収縮の可能な遅筋線維(Type 1、赤筋、色の原因は、酸素結合性タンパク質、ミオグロビンである)と、ミトコンドリアは比較的少なく解糖系による瞬発的な収縮の可能な速筋線維(Type 2、白筋)にわけられる。速筋線維の中でもやや持続的収縮に向いたものはType 2a、そうでないものはType 2X、Type 2bとさらに細分される。最も速い速筋繊維はType 2bである。遅筋線維、速筋線維はそれぞれ遅筋、速筋と呼ばれることが多い。さらには、両者の性質を備えた中間筋の存在も認められている。
 骨格筋は運動神経に支配されており、運動神経から信号を受けると収縮して力を発揮する。1本の運動神経とそれに支配される筋線維をあわせて運動単位あるいは神経筋単位と呼ぶ。運動神経1本あたりの筋線維の数は、指などの精密な動きをする筋肉では少なく、大腿など大きな動きをする筋肉では多い。骨格筋線維を直接支配している神経線維は、α線維と呼ばれる径の太い(神経伝達速度の速い)ものである。また、骨格筋には筋紡錘、ゴルジ腱器官と呼ばれる感覚器が存在する。

筋肉のエネルギーATP

人の筋肉が動く直接のエネルギーを作るのは、アデノシン3リン酸(ATP)である。
アデノシン3リン酸が分解されてアデノシン2リン酸になるときに出るエネルギーによって人の筋肉は動いている。

 筋トレや短距離走など無酸素運動でも、ジョギングや遠泳など有酸素運動でも、アデノシン3リン酸から筋肉を動かすエネルギーを作るのは同じである。

体内にあるATPの量は少なくて運動すると、ATPは1~2秒で無くなる量である。
エネルギーのATPは1~2秒動いたら無くなる量であるが、1~2秒動いてすぐ動けなくなる人はいない。
これは、筋肉が動くとATPが使われる一方、体内ではATPを作り続けているからである。ATPを作る工程によって、無酸素運動と有酸素運動が分かれる。
ATPの作り方を1枚の図で書くと左図のようになる。
ATPの作り方は、ATP-CP系、乳酸系、有酸素系の3つだけで、ATP-CP系と乳酸系がいわゆる無酸素運動になって、短時間の運動で機能する。
ATP-CP系と乳酸系だと、ATP-CP系のほうがより短時間の運動で使われる。

 

①ATP-CP系
ATP-CP系のATPは上で紹介したアデノシン3リン酸、CPはクレアチンリン酸のことである。
運動を始めると、筋肉の収縮のためにATPが使われていく。
一方で、ATPがADPに分解されるのと同時に体内のクレアチンリン酸が分解されていく。
クレアチンリン酸が分解されることで得られるエネルギーによって、ADPがATPに再合成される。
ATPが使われるとクレアチンリン酸が分解されて、そのエネルギーを使って再びATPを作る。
そのため、ATP-CP系と呼ばれる。
とにかく反応が早く運動開始時や短時間で強度の高い運動で活躍するが、クレアチンリン酸の貯蔵量はそれほど多くなくATP-CP系だけだと10秒と持たない。ただし、実際には、ATP-CP系と同時にほかの機構も動いて、ATPとクレアチンリン酸が作り続けられているのでATPが尽きたり、クレアチンリン酸が尽きたりすることはない。
このクレアチンリン酸を体内に多く貯蔵しよう!という目的でクレアチンサプリメントも出ている

②乳酸系
つぎに、乳酸系である。解糖系、乳酸解糖系などとも呼ばれる。
この反応では乳酸はATPを作るエネルギーにはなっていないが、でも、乳酸系と呼ばれる。
グリコーゲンやブドウ糖からブドウ糖6リン酸が作られて、ピルビン酸になるときにエネルギーが得られる。ピルビン酸の状態だと体に貯めにくいので、乳酸が体に貯まっていく。
この乳酸は「乳酸が貯まる。」のように疲労がたまる意味で使われているが、本当は乳酸は、ピルビン酸になって有酸素運動のエネルギー源になる。
急激な運動をすると、乳酸が貯まっていくが、乳酸が溜まると、乳酸系の反応が進みにくくなって体がしんどくなる原因になる。筋肉中にたまった乳酸は筋肉を収縮するのである。筋肉が縮むと血行が悪くなり疲労を感じるのである。

最後に有酸素系である。
まず、ピルビン酸と脂肪からアセチルCoAが作られる。
乳酸系の運動で作られた乳酸もピルビン酸に変化する。
アセチルCoAは、アセチルコエンザイムエーのことである。
アセチルCoAが、ミトコンドリア内のクレブス回路に入っていく。
このクレブス回路と電子伝達系とよばれるシステムによって、エネルギーが取り出される。
図を見てもらうと、酸素が入っているが、ATP-CP系や乳酸系では酸素は書かれていない。文字通り、「有」酸素ということで、脂肪がエネルギーになる。
クレブス回路は、別名TCA回路やクエン酸回路とも呼ばれる。

ATPを作るシステムを紹介してきたが、3種類あるということは、3種類に特徴があるということである。
ATP-CP系>乳酸系>有酸素系の順でエネルギーの供給速度が速く瞬発的な運動に適している。有酸素系は瞬発的な運動に向いていない。
一方、供給時間は逆で、ATP-CP系は7秒、乳酸系は33秒、有酸素系は無限大である。有酸素系は呼吸により取り込んだ酸素を使うし、脂肪があればエネルギーを作り出せるからエネルギー供給は無限になるが、酸素を運ぶのは血流であるから、血流の悪い人は有酸素系エネルギーを十分使えず、脂肪が燃えにくいということになる。

 

 

投稿者: rigakusuina-admin

上海推拿教育院認定 推拿整体技能士 日本心理学会認定 認定心理士 NPO法人 日本ホリスティック医学協会 会員 気功整体・癒しの空間 店主 古田島 正敏

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