ヒプノセラピー基礎講座Ⅴ 催眠深化法

催眠への誘導が成功したら、今度はより深く催眠に導くテクニックを学びます。
最初に誘導の流れを理解しましょう。いきなり深い催眠現象が起こる人もいますが、基本的にはすぐに深い催眠現象が起こるわけではありません。
・催眠に対する興味と催眠に掛かりたいという欲求を高める
・施術者に対する安心感を高め、信頼関係を築いていく
・施術者に対する威光を高める
これらがあるからこそ、深い催眠現象が起こりやすくなります。
レベルの高い施術者は、これらを意識しながら誘導をしていくのです。
これは、営業、販売、勧誘などの一般的なコミュニケーションと同じです。
催眠法を習得することは、ただ単に催眠法を掛けれるようになるだけでなく、仕事や日常で活用できるコミュニケーション技術を上げる練習にもなっているのです。
私は、推拿と催眠法は、とても相性が良いと思っています。
催眠は、基本的には言葉を使って、トランス状態を深めて、現象を起こしていきます。気功催眠など言葉を使わなくても誘導することができる催眠もありますが、整体師の場合、リラクゼーションの誘導や言葉を加えると、より効果的に施術できることでしょう。催眠の技法は、あなたの仕事や生活をより良くする、コミュニケーションの技術でもあるのです。

催眠のレベル
催眠は大きくわけて、三段階にわけることができます。
1.運動支配段階(軽催眠)
2.知覚(感覚)支配
3.記憶支配
の三段階です。

この第一段階は、運動支配という段階で、たとえば、「腕が一本の棒になって曲がらない」と暗示すると、いくら曲げようとしても曲がらなくなってしまいます。
足と頭を2個の椅子にのせて人間ブリッジを作り、「身体が硬くなって、石のようになりますよ」と暗示すると身体が硬直して、人間橋ができあがります。こうなると上に人があがっても、何ともなくなってきます。
このとき、催眠に入っている人に、「あなたは今、催眠に入っているのがわかりますか」と質問しても、誰もみな「催眠に入っていない」と答えます。
なぜなら、意識もあって、まわりの様子もよくわかって、自分では催眠に入っているとはどうしても思えないからです。しかも目をあけることもできるし、自由に言葉も話せます。
これは、運動支配の段階だけでなくて、いくら催眠に深く入っても同じことですから、よく覚えておいてください。
人間橋を暗示でつくった人を、催眠からさまして、今度は自分で意識的にい力を入れて、同じように橋をつくってもらいます。そして、催眠のときと同じように上に上がろいうとすると、片足を乗せただけで、苦痛に耐え切れず、人を乗せることはまずできません。(*_*;
催眠に入っているかいないか、自覚できるのは、催眠時は人をのせても平気なのに対して、催眠からさめたとぃは、人をのせることができなかったという違いだけなんです。
運動支配の段階に入ると、筋肉の弛緩、緊張が、暗示によって
ひきおこされてくるのです。

第二段階は知覚(感覚)支配です。
言葉による暗示で、緊張と弛緩を繰り返す事で、深い催眠に誘導していきます。
緊張の暗示は息を吸い込む時を見計らって入れます。逆に弛緩の暗示は息を吐くときに入れます。
催眠は、運動支配→感覚支配→記憶支配の段階で深くなっていきます。一つ一つの支配をしっかり強める事でより深い催眠に導くことが出来ます。

少しでも催眠にかかって運動が支配できたら、一度力を抜かせます。「筋肉がほぐれていきます・・体中から力が抜けていきます・・」などと脱力させます。
脱力したら「だんだん力が戻ってきます・・全身に力が入ってくる・・」などと再び緊張させます。このように、脱力と緊張を数度繰り返すのです。

具体例
・緊張と弛緩が顕著になったら「あなたは立ち上がる事はできません」と硬直の指示を与える

・立ち上がれなくなったら「3つ数えたら立てます・3・・2・・1さあ立ってみてください」といって弛緩させます

・歩けたら、「今度は足が床にくっついて、歩く事が出来ません」と硬直させます

・硬直したら、「3つ数えたら歩けます・・3・・2・・1さあ歩いて見てください」と弛緩させます

※こういった禁止暗示をかけては解くといった揺さぶりを繰り返すのも催眠を安定させる方法です

運動支配の時期から感覚支配の時期へ導くには、感情を喚起する運動を促すのも効果的です。怒ったり、悲しんだりする時には、手を使って表現する事が多いため、手の浮遊などといった、手の自動運動を行って感覚支配に導くのが効果的です。
・手の浮遊法を使い、相手が手を上げた状態からピアノなどの音楽を流し、音楽に合わせてピアノをひく真似をして下さいなどと、促します。

感覚支配に誘導するコツ=何度も暗示を与えて繰り返す

・催眠誘導を感覚支配まで持っていき、「貴方の右腕から痛みという感覚がなくなります・・痛みという感覚が抜けてしまって、叩いてもつねってもかんじません。・・どんどん抜けています・・すーっと抜けていきます」と言って相手に左手で右手をつねるように指示します。

・次に右手で左手でつねるように指示して、左右の違いを確認させ、痛みが減っている事を確認させます

・暗示どおりに痛みが抜けているなら、次は痛みの抜けた感覚を左肩に移動させます「3つ数えたら右腕の痛みを感じないのが、左肩に移動します・・3・・2・・1・はい、右腕が元にもどります・・そして、左肩の痛みは抜けました」と言い痛みのコントロールをします。

・左手で右手をつねって、痛みが残っていれば、どんどん痛みが抜けていきますと、追い込みを再びします。

幻覚をおこさせるテクニック
感覚支配が行えるレベルになれば次に幻覚を見せる催眠を行います

・相手に何か色のある物を見せます(携帯電話など)

・相手がしろと答えたら、相手の目を自分の手で覆って見えなくします。

・相手が目を閉じたら、その直後を狙って「目の前にある携帯は青です」と暗示を入れます

・終わったらすぐ手を離して「見てください」」携帯は青ですと言えば、青く見えます

次は「名前を忘れる」「幻覚を見る」などの記憶支配です。

 

 

ヒプノセラピー基礎講座Ⅳ 被暗示性と催眠感受性

 

 

暗示にかかりやすいかどうかを判断する指標を被暗示性と呼びます。催眠に入りやすいかどうかの指標を催眠感受性と呼びます。

被暗示性が高い人=催眠に掛かりやすい人ではありません。
被暗示性は暗示に対する反応性であって、催眠状態のなりやすさとは直接関係しないということは催眠が研究対象になった割と早い時期から言われています。ただ、被暗示性が高い人は、催眠に掛かりやすい傾向があるので、大きな間違いとも言えませんが、被暗示性と催眠感受性を分けて考えるのが現在の研究では主流です。なお、催眠状態では被暗示性が高まる、という考え方が以前ありましたが、実験を行った所、実は対して高まらないってのが分かっています。そうなる人もいるけど、言われているほど一般的な現象では無かったということです。
現在のところ分かっていることは、
・被暗示性は個人差があること
・催眠を繰り返しても被暗示性は高まらないこと
の2つです。

 逆に、催眠感受性は学習によって高まるということも分かっています。
つまり、被暗示性が低い人でも、催眠予期性(その人が意識、無意識に自分がどの程度催眠に掛かれると考えているか)を高める工夫をしたり、繰り返し催眠術を施すことで催眠状態になることが出来ます。そして、催眠感受性は催眠を繰り返すことで高まっていくので、これが「被暗示性が催眠状態ではに高まる」という錯覚に繋がったのではないかなと思います。一度でも催眠状態になったことがある人は、他の環境でも再び催眠状態になれると言われています。
被暗示性が低い人を如何に催眠状態にできるか、それが催眠療法士の技量であり、経験量に比例するものではないかと考えます。
催眠状態になりやすい人、催眠時の反応が良い人を「被暗示性が高い」と言うのは間違いで「催眠感受性が高い」というべきです。
また、催眠にかかりにくい人はけっこう多いのですが、そういう人でも意識の集中が出来ていれば暗示は有効です。
反応性の強弱はありますが、暗示にかからない人はいないと言われています。
–結論–
被暗示性
とは、暗示に対する反応性のことであり、、暗示の入りやすさである。催眠療法では、この被暗示性という用語が使われることが多い。
 催眠感受性とは催眠の掛かりやすさです。イスから立てない、わさびが甘くなるといった、実際の催眠現象の起こりやすさを言います。

ヒプノセラピー基礎講座Ⅲ 催眠導入法

いよいよ、催眠導入の実践です。
優れた催眠療法士はどこが優れているかと言うと、誘導の速さと見極め力です。優れた催眠催眠療法士は、短時間でトランスを深めて現象を起こすことができます。そして、被験者の反応を見て、被験性の見極め、どのようなタイプなのかを見極めることに長けています。導入技術は経験がものをいうので、徹底的に練習してください。

 顕在意識に邪魔をされないための二種類の方法 のところで、
1.潜在意識(感覚など)を活発にして顕在意識に弱まってもらいトランス状態に誘導する・・・・・というのがありました。これを具体的に行うのが呼吸法です。
呼吸法は、気功やヨガ、座禅などで用いられるものと同じものです。その機序を説明します。
呼吸を始め、内臓の活動をコントロールしているのは自律神経です。
自律神経は一言でいうと、内臓、血管などの働きをコントロールし、体内の環境を整える神経です。
自律神経は、すべての内臓、全身の血管や分泌腺を支配しています。
知覚・運動神経と違って、私たちの意思とは関係なく独立して働いているので、内臓や血管を私たちの意思で自由に動かす事は出来ません。
反対に、意識しなくても呼吸をしたり、食べたものを消化するため胃を動かしたり、体温を維持するため汗をかいたりするのは、自律神経があるからです。
自律神経には、交感神経(起きている時の神経・緊張している時の神経)と副交感神経(寝ている時の神経・リラックスしている時の神経)があります。
この二つは、一つの器官に対して互いに相反する働きをしています。
肺においては呼吸(息を吐く動作)を副交感神経が行います。の動作は交感神経が行います。このことは息を吐き続ければ副交感神経が優位になることを意味します。の動作を細く永く行い、の動作を短くおこなうことで長時間にわたり副交感神経優位を保つことが可能です。副交感神経が優位になると、右脳が活発に働き、左脳にある46野は機能が弱まります。その結果トランス状態に入りやすくなるのです。
 気功やヨガ、座禅などは腹式呼吸にこだわります。それは横隔膜(遅筋)の運動で脂肪が燃え、おなか(丹田)が温かく成るからです。理想ではありますが、副交感神経が優位になると毛細血管が開き全身が温かく成るので、催眠においてはこだわる必要はありません。クライアントにひたすら息を永く吐く指導をするだけで良いのです。これは後に出てくる自律訓練法の背景公式に当たります。

催眠法を行う際に催眠療法士が必ずと言ってよいほど最初に行うのが観念誘導と呼ぶ観念運動を使った催眠への導入です。必ずしなくてはいけないわけではありませんが、観念運動をおこない被験者自身が不思議な感覚を認識することで催眠導入が容易になるからです。よく実践される観念運動で代表的なものに”シュヴリュルの振り子”があります。
他によく使われる導入としてはお祈りしているように両手を組み合わせて人差し指同士を伸ばしてから指同士の間隔を離すと勝手に指同士がくっついてしまうというものもあります。しかしこれは人体の構造を利用したものであって厳密にいえば観念運動で起こる現象ではありません。しかしながら、観念運動や人体構造における現象を被験者に催眠暗示によるものと誤認させて行うことで脳を催眠状態に誘導しやすくする技法を慣習的に観念誘導法と呼んでいます。

 意識の集中も潜在意識(感覚など)を活発にして顕在意識に弱まってもらうための大事な要素です。視覚、聴覚、触覚などの外部刺激に注意を集中させると、いわゆる気を取られた状態で注意力、判断力が鈍ります。これらは、「一時的に 顕在意識=46野 によそ見をしてもらう」にも該当します。ペンライトを使った「凝視法」や抑揚の無い単調な口調で延々と注意を引き付け、時にはわざと無言になり、不安を煽ることで集中度を高める「話法」も良く使われます。腕や脚などを撫でて触覚に意識を集中させる「撫擦法」などはTV等でご覧になったこともあるでしょう。要は1点に意識を集中させることにより考える隙を与えないという方法が一時的に顕在意識によそ見をしてもらうということです。また、顕在意識=46野は単調な刺激や作業が苦手です。これを利用した例に「揺動法」があります。数を数えながらゆっくりと体を揺することを繰り返すと46野は思考を停止します。これらの技術を臨機応変に組み合わせ、催眠に誘導します。

この段階ではクライアントは判断力は弱まってはいるものの、意識はしっかりしていますので、催眠にかかったという自覚は無いのが普通です。ですがこの段階でもすでに暗示は有効なので、これ以降は暗示を使い、催眠を深化させます。

ヒプノセラピー基礎講座Ⅱ

催眠下とそうでない状態の違いをフロー図に表してみました。

つまり、脳の判断において最高司令部である前頭前野の46野が機能しない状態であれば、暗示が有効となるわけです。

ポイントさえ押さえれば「催眠法は誰でも習得できる技術」です。
そのポイントとは、46野を制御する技術です。
前回記述した、顕在意識に邪魔をされないための二種類の方法
1.潜在意識(感覚など)を活発にして顕在意識に弱まってもらう。
2.一時的に顕在意識によそ見をしてもらう。
の顕在意識とは、46野の事だったのです。
 念のため断っておきますが、「催眠法」(昔は催眠術と言いました)は、ヒプノセラピーとイコールではないということです。催眠法の技術を習得して、暗示で「はい、貴方は今日からタバコを止めました」と暗示を入れてもタバコはやめられません。催眠の技術を応用して、心理学的に活用していくのがヒプノセラピーだと理解してください。

次回は催眠導入法について具体的に記述します。

ヒプノセラピー基礎講座 Ⅰ

 

推拿整体においては、脳の働き、とりわけ潜在意識に関する知識も必要です。何故ならば、筋肉、血管、神経を支配しているのは脳であり、脳は意識に反して、思わぬ行動に出ることもあるからです。
したがって、今回はその基礎としてHypnotherapyを学びます。

ヒプノセラピー(催眠療法・Hypnotherapy)について

文責:古田島 正敏
(許可無く転載を禁止します)

ヒプノセラピー(催眠療法)とは、催眠状態を利用し悪い癖や習慣を治したり、心の問題の軽減や改善などを行う療法である。

現在では、スポーツの世界や企業のメンタルトレーニング、イメージトレーニング、リラクゼーションなど、日常的に催眠療法を利用している。

 

催眠療法(ヒプノセラピー)をおこなうということは、

自分の意思で、意図的に催眠状態に入り、自己の潜在意識に目を向け、自分にとって必要な場面や状態を感じ、自分自身がマイナスの感情や不必要な事柄を理解納得し、取り除くことで本来の自分を取り戻すと共に心を癒し、自己啓発するということである。

 

催眠療法の最も優れた特徴

催眠療法の最も優れた特徴は、自分自身が感じ、経験する事で、自分自身が納得し、ポジティブな考え方に変わるということにある。

 

自分自身が自然な感じで変化する(第三者から説得されて行動させられる訳ではない)ので、自分自身が変わったことに気づかず、周りが変わったと錯覚してしまう。

 

催眠(Hypnotherapy)についての昔の催眠術のイメージ:

テレビの影響で自分の意志に反して相手のいいなりになって操られてしまう。

魔法にかけられて意識を失い、何をしていたか分からないというイメージ。

 

催眠(Hypnotherapy)の実際:

五感が鋭くなり集中力も増す。

顕在意識と潜在意識が繋がることによって起こる変性意識状態である。

言いたくないことは言わず、したくない事はしない。

自分の意志ですべての行動をする。(その選択が気持ちがいいから)

催眠療法士にとって、その技が優れていれば いるほど ヤラセっぽく見える のが悩みの種

 

催眠とはどんな現象か

人間の心は顕在意識と潜在意識で構成されている。

潜在意識(無意識)とは、感覚や生命活動や記憶などを担当している。
意識していなくても目や耳や鼻や皮膚は感覚を受け続けているし、呼吸や心臓の動きは意識するまでも無く繰り返され、意識に現れていない記憶は頭のどこかに隠されている。
顕在意識は心のうちの10%に過ぎず、残りの90%は潜在意識である。

 

潜在意識は理性的な判断力を持っておらず、与えられたメッセージ(暗示)を何でも素直に受け入れる。
普段は全てのメッセージを顕在意識が受け取り、内容を判断し、顕在意識が正しいと判断したメッセージしか潜在意識には伝えないので、顕在意識と潜在意識が矛盾することはない。

 

もし、顕在意識に邪魔をされずに、直接、潜在意識にメッセージを送ることができれば、顕在意識の判断に反した反応を、潜在意識が担当する範囲に及ぼすことができる。
これが催眠(Hypnosis)という現象であり、メッセージを送る技術のことを催眠法と呼んでいる。

 

顕在意識に邪魔をされないための二種類の方法

1.潜在意識(感覚など)を活発にして顕在意識に弱まってもらう。

トランス状態に誘導する

2.一時的に顕在意識によそ見をしてもらう。

凝視法、驚愕法、混乱法

注)トランス状態とは催眠状態や変性意識状態とも呼ばれ、潜在意識が活発になって顕在意識が弱まった状態のことで、判断をするはずの顕在意識が弱まっているから、メッセージは潜在意識が無批判で受け入れやすくなる。

 

トランス状態には深さがあり、その深度に応じて受け入れやすい暗示が変わる。

浅:運動支配

中:感覚支配、感情支配

深:記憶支配、幻覚支配

 

被暗示性

トランス状態への入りやすさと深くなりやすさは個人差があり、この個人差を被暗示性と呼ぶ。

 

催眠療法士の技術

トランス状態に入れる   (=誘導のやり方)
トランスを深くする    (=深化のやり方)
顕在意識によそ見をさせる (=暗示の入れ方)
トランス状態から抜ける  (=覚醒のやり方)