推拿の套路

推拿の套路     【推拿伝授02】文責:気功整体・癒しの空間 古田島 正敏

套路:套路とは中国武術における練習方法のひとつで、連続的な攻撃方法、防御方法、立ち方、歩き方、呼吸法、運気法などを総合的に盛り込んだ一連の身体動作の流れを指すが、推拿においては、標準的な施術の流れ(順番)の事である。筆者の推奨する「現代理学推拿」においては、医学における血流、神経経路、発達生理学における体幹、東洋医学における“気”の流れに鑑み、頭部から骨盤まで(太陽膀胱経)を上から下へと施術するのを原則とする。

事前診断:施術にあたり、下記の状態をチェックする。(体幹より、末梢の方が異常がわかりやすい)足の長さ、下肢の関連痛、膝、梨状筋、腰の張り、肋骨と骨盤間の隙間、脊柱起立筋の固さ、肩甲骨周りの状態、肩関節周辺炎(脇の下等)、上部頚椎ズレ、前斜角筋、胸鎖乳突筋、瘀血の有無や上腕を挙げた時(特に撫肩に注意)や手をグーパーした時の掌の色の変化。また、体質による症状の現れ方、(糖化の進み具合やインスリン抵抗性等)にも注意が必要である。

施術の順序:上から下へ、中央から外側へを原則とする。
筆者が行う標準套路(60分):

太陽膀胱経を緩める
   一回目

①事前診断:の後、頭部(百会)から頚椎の終わり(大椎)まで親指を交互に使い“気”を導引する。

 

②肩の中央から首筋際への関節滾法(右側から、または長い脚の方から始める。)

③肩から胸椎末端までの関節滾法。

④腰椎から腸骨稜への標準滾法

⑤腰椎から肩までの標準または拳滾法(下から上へ戻る)。

⑥反対側の肩を推法・柔法で解す。

上記②~⑥を反対側にも行う。

⑦方形枕で肘を持ち上げて、棘上筋を緩める。(二回目が終わるまでそのまま)

二回目

①一回目と同じく、②から⑤までを行った後、「カエル脚」を行う。(90秒)

②腰方形筋、背筋、僧帽筋を柔法で解す。

③反対側の肩を推法・柔法で解す。

④上記①~③を反対側にも行う。

⑤方形枕で左右の肩を持ち上げ、肩甲骨を浮かす。(三分程度)再び肘に枕を当てる。

三回目

①二回目と同じく、一回目の②から⑤までを行なう。手技は緩み具合に応じて指先推法や魚際柔法などを併用してを使う。

②脚部(太陽膀胱経)を標準滾法で解す。固い場合には前腕推法などを併用する。

③「カエル脚」(90秒)を行った後、腰方形筋、背筋、僧帽筋を柔法で解す。

④上記①~③を反対側にも行う。

仰向けで両側膝倒しを行い、大腰筋における脳の認識を検査:

      左右のバランスが悪い場合は、快方向に90秒保持後、強めの操体法で緩んだことを認識させる。

陽明胃経、大陰脾経を緩める

      拿法、操体法で緩める。

頚部の検査

      柔法、差法を使い、警部を緩めた後、上部頚椎の状態をチェックし、ズレがあれば治す。

(頚椎後部を開きながら、棘突起と首全体を逆方向に回転させるよう適度の圧力を加えたまま、頚椎後部を閉じる)

 

施術上の注意:下記の要件(インスリンと糖化の関係)に留意して施術の参考とする。

年齢差:年齢を重ねるほど、筋肉と血管、内臓(主としてコラーゲン)は糖化が進み固くなる。

固い筋肉、血管、内臓は、血流を圧迫し、代謝を遅滞させ、体を冷やし、各種の不調を引き起こす。

男女差:女性は男性に比べ、速筋、遅筋とも少なく、各種不調が敏感に表れる。(例:偏頭痛は女性に多い)特に高齢者は、大腰筋、外旋筋の衰えにより、下半身の血流が悪くなり膝痛などを患うことが多い。

体質:インスリンの量、質、およびインスリン抵抗性により、体の固さが異なることを理解する。

例1)インスリンの量の多い人、質の良い人は肥満体が多く、血管、筋肉は柔らかい、したがって肩凝り腰痛は少ない(西洋人体型)が、その逆は血管、筋肉はが固く、痩せ型で食べても太らない(日本人体型)、このタイプは冷え性で肩凝り、頭痛、腰痛、生理痛、ひざ痛に悩まされる。

インスリン抵抗性の高い人は肥満でも体が固く、肩凝り腰痛が多いが筋肉量が多く、冷えを感じにくい(特に男性)場合が多いが老年期には冷え性となる。